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女子高生は、「なんか、目が変」と男に訴えた。「体も動かない!」
男は「いったい何を言っているんだ」と女の子の相手をしない。
男にとっては少女の目がどうなろうが知ったことではないのだろう。
柄の悪そうな男は三千子の脇をすり抜け、俺に詰め寄ってきた。
そして、少女の言葉をうまく利用し、
「おい、おにいさん、俺の可愛い妹に、舐めたことをしてくれるじゃないか」と脅かした。
男は、俺の胸ぐらを掴もうとしたが、
男には、その手自体が無かった。
両方の手が、三千子によって背後からねじり上げられていたからだ。少しでも動くと激痛が走る、そんな締め上げ方だ。三千子はそんな護身術のようなものを体得していたのだろうか?
「てめえ、何しやがる!」
強がってはいるものの、完全に男の負けであることはひと目で分かる。男は体を動かすことができないのだ。
立ち尽くしている女子高生は男の名を呼び「えっ、どうしたのっ、・・らしくもない」と呆気にとられている。
「こんなことをして、ただですむと・・」
そう言いかけた男の顔の横から三千子が顔をぬっと出し、
「中谷くんに何かしたら、許さない」と言った。
・・それで終わりかと思った。
女子高生が、目が痛むのか、顔を押さえたままへたり込んだ。
三千子が男の手を離した瞬間、男のどこかの骨がグギッと音がしたようだった。
だが痛みがないのか、男は顔を変な風に曲げ「あれ?」と不思議そうな顔になった。
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