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深夜のファミレス
◆深夜のファミレス
雨の夜だった。
深夜のファミレスで 俺は久しぶりに会った大学時代の友人と食事をしていた。
遅い時間ともいうこともあって、家族客はおらず、店内は閑散としていて静かだった。おまけに、外は長雨だ。時折、雨宿り代わりに一人客が入ってくる。
一時しのぎのせいか、オーダーもコーヒーなどの飲み物ばかりで、ウェイトレスは暇そうにしている。
向かいに座っている友人は、近藤といって、大学のゼミで一緒だった男だ。
互いに近況を報告し合った後、近藤は女の話を始めた。近藤は学生の頃から女遊びが派手だったことで有名だった。
近藤は自分の話を一通り終えると、こう切り出した。
「なあ、中谷」と俺の名を呼び、
「あの子、憶えているか?」と訊いた。
「あの子って?」
「あの子だよ。市村三千子、おまえ、学生の頃、あの子とつき合っていたよな?」
久しぶりに会った友人から三千子の名前を聞いた時、誰の話なのか、咄嗟に思い出せなかった。
三千子(みちこ)とは、大学生の時、二年間つき合っていた。
大学四年間の内の二年間は大きな数字だ。決して短い期間とは言えない。
春夏秋冬が二度繰り返す。
三千子は、友人から紹介された。年は一つ下だった。
少し暗い雰囲気のする女性だった。女の子ではなく、大人の雰囲気を持っていた。
とりたて、目立つほど綺麗ではないが、時折、ドキッとするほど、美人に見える時があった。
近藤のようにさほどモテない俺は、そんな三千子とつきあい始めた。
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