磁場

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 霊の存在・・俺はこの年になるまで信じてこなかったが、  本当にそんなものがあるのなら、俺には会いたい人がいる。  ずっと昔、亡くなった俺の姉だ。 「こうちゃんには、ずっとそばにいてくれる素敵な人が現れるわ」  姉は何度かそう言った。まるで何かを予言するように言っていた。  俺は未来に現れる人より、そんな不確かな人より、心優しい姉さんに生きていて欲しい。ずっと傍にいて欲しい。そう願っていた。  だが、祈りも虚しく、心臓の悪かった姉は早逝した。  こんな場所で急に姉のことを懐かしく思い出してしまったが、ここに姉の霊魂がいるとは思えない。この洞窟は、姉にとっては無縁の場所だ。 いるとしたら、それは、三千子の霊だ。  俺の歩みが遅くなった。この先に進むことに気が引けたのだ。  さっき見たような霊魂が、他にも現れたらたまったものじゃない。学生の時は、あれを見ることができなかったのか? それとも俺に霊魂が見える力が備わったということなのか。
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