深夜のファミレス

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 確か、あれは、授業が休講になり、大学のラウンジで、三千子とお茶を飲んでいた時だ。  彼女と話すことにも飽き、暇を持て余した俺は、ラックの週刊誌を手に取り、パラパラと捲っていた。  何となく、その中のアイドルのグラビアを眺めていた。  そんな光景がまざまざと浮かんできた。 「ねえ、中谷くん」 「何?」 「中谷くんは、痩せている女の子が好きなの?」 「どうして、そんなことを訊くんだ?」  俺の問いに、三千子はすっと俺の手から週刊誌を取り上げ、 「だって、この子、すごく痩せているじゃない!」と開いたページを目の前に見せて言った。  確かに、そこには水着のアイドルが、世の男どもに媚びるような肢体を見せていた。  特に痩せているわけでもないが、その辺の女子大生よりは痩せているような気がした。 「別に、こんな子、好みじゃないよ」  俺がそう言うと、 「だって、中谷くん、ずっと見てたじゃない!」と三千子は断固抗議するように言った。  そんなにムキになるのなら、週刊誌など手に取るのではなかった、と思ったほどの権幕だった。  三千子の様子に怯んだ俺は、週刊誌を元あった場所に戻した。  だが、事はそれだけでは済まなかった。  次の日のランチから様子が変わった。三千子はいつもの定食は頼まず、コーヒーとプリンを注文しただけだった。 「お腹、空かないのか?」と訊くと、 「プリンが好きなの」  そう言って三千子は笑った。
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