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洞窟
◆洞窟
俺は、三千子との最後のデートの日。
ある場所を選んだ。
兵庫県の山の奥にある「呪いの洞窟」と言われる場所だ。
呪い・・といっても、実際に呪いがあるとか、幽霊が出るとかではない。
ただ、洞窟の中が迷路みたいになっていて、噂では、出れなくなった人がいるとの話がある。それだけの場所だった。
ただそれだけのことで、幽霊を見たとか、足を踏み入れると出れなくなるとか、変な尾ひれがついてまわる。
そんな気味の悪い場所でも、デートスポットになるらしい。俺たち以外にも、薄暗い洞窟の中に入っていくカップルが何人かいた。
怖がる彼女に勇気のあるところを見せようとする男はいくらでもいるということだ。もしくは、この機会に彼女とのスキンシップを図りたい。そんなところだ。
洞窟への道に「立ち入り禁止」の薄汚れた表示板がダラリと垂れ下がっている。看板を付けたきりメンテナンスをする者もいないのだろう。
管理する人間もないのか、辺りは雑草が伸び放題だ。それにゴミも酷い。
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