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「な、啼い……っ」
顔がかぁっと熱くなる。翔の腕の中で甘い夜を過ごした。一気に思い出されて恥ずかしくなる。
「仕事があるの、帰ります」
逃げ出すみたいに翔の腕から放れて、急いで服を着る。彼はベッドの上で頬杖をついたまま、そんな私をじっと見てる。
「朱莉、ちょっと待って」
シティホテルの部屋を出る時、翔が一枚の名刺を渡してきた。
倶楽部【JEWEL】と書かれてる。
代表取締役 桐谷 翔
「え、ホスト倶楽部?」
「そこ、俺よく顔出してるから」
遊びにおいでと翔はにっこり。大企業のトップが道楽で飲食店経営までするのかなって、私もあまり深くは気に留めずに名刺を頂く。
「絶対に来いよ」
琥珀色した瞳は優し気に微笑んでいて、またどきどきと鼓動が高鳴ってしまう。
「朱莉、おまけ」
前髪を翔の細い指先がかき上げて、おでこにもう一度キスがふる。
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