義侠心

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「助かるよ、面倒な事態は避けたい」 招待客は多かった。知人達には敢えて言う必要は無い。 「誰か、いらしたわ」 病室の扉がノックされ、こちらの返事も待たずに扉が開く。和風姿の女性が凛としてそこに現れた。 「母さん……!」 「陽斗、貴方はいったい何を……っ」 険しい表情つきでツカツカとベッドまで歩み寄る。 「貴方まで何かあったら私は……!」 「ごめん、母さん。でもたいした事はないから」 「きちんと説明なさい。母さんが納得をする様に」 母の剣幕に、亜紀は事情を察して病室を出て行く。俺は朱莉と顔を見合わせて、全てを話すべきなのか躊躇していた。 「私が―― 説明をします」 「桐谷さん……!」 「どうぞ、こちらへ」 出て行った亜紀と入れ替わる様にして、翔が病室の中へと。母に頭を下げると、ベッドルームの脇にある応接セットに二人で向かい合い腰を降ろす。  ベッドからはまだ出られない。痛む身体で母と翔の様子を見ていた。
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