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「きゃ……っ」
反動で倒れ込んだ私を彼が見下してる。さらさらと髪が垂れて琥珀色をした瞳を覆う。細い顎に綺麗な鎖骨が目に飛び込む。
「名前、聞いてない」
「み、三沢朱莉よ」
三沢 朱莉―― つい昨日までは恋人さえいなかった私が。何故こんな事態に。
「……んっ…」
彼の顔がいきなり降りて来て唇を塞ぐ。酔っていても覚えてる。熱い吐息が全身にふれてた。
「ま、待って」
胸を両手で押し返す。彼はなにって顔を傾げる。
「貴方の名前……!」
「桐谷。知らないはずないだろう」
大企業に急成長をした桐谷のトップ。知っている事はたったそれだけ。
桐谷 翔―― 彼はいまさらかよって、私を見て肩を揺らして笑ってた。
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