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ほらね。
オレは1時間と経たずに、若頭・東雲修哉の前に連れ戻された。
仕方ねぇじゃん。
だってやっぱり迷子になったんだもん。
なんだ、この無駄に広い屋敷は。ここって玄関の横じゃねぇじゃん。誰だよ、玄関の横って言ったやつ。オレか。使えねぇな。
だいたい、土地がねぇっつってみんな狭いとこにすんでんじゃねぇの?
オレだって、ワンルームですが。
あ、オレはいいのか。一人暮らしだったわ。
くっくっく と笑う東雲修哉。
あ、ヤバい。ムカつく。
「おかえり、颯介」と口の端をモゾモゾさせながら、カップを持ち上げる。・・・肩震えてんだけど!
「笑いたきゃ笑えばいいだろ!」
くっそー。怒鳴った途端腹抱えて笑ってんじゃねえぞ!ガッテム!
・・・どういう意味か知らんけども!
浮きかけた腰を下ろし、さっきは気づかなかった座り心地のいいソファーに深く腰掛ける。
ズブズブと沈む感じが高級感満載で、どうせなら身体の細部まで味わってやろうとソファーに寝転がる。
「その態度で、よく史上最強を唄えるものだ」と呆れ顔の東雲修哉。
東雲・・・東雲修哉・・・
「あ、そっか。修哉でいいのか」
年上だろうが、こんな失礼なイケメン敬う必要・・・あるか?年知らないけどさ。
「修哉さんか?修哉様?修哉殿」
「か、梶本さん・・・」あ、天使が真っ青。
オロオロと両手を上げたり下げたりとなんか忙しそうだね、天使。
知らないけどね。だって迷子の原因だし。
あんな風に屋敷ん中グルグル回ってさ、最後に「ほら見た事か」って言いたかったんだろうけど。
・・・いや、言われてけど。そうじゃなく。
「会って二日、2回目。正味2時間でどんな相手かも確認せんでサクッと手を出すような男、たとえヤクザだろうが知ったことか」
ザワザワとザワつく周りに・・・っていつの間にっ
10人はいるですけど。怖い人が。
なんで怖い人が怖い顔してんの?
あ、オレかなり失礼なこと言ったわ。
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