盗賊

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・・・・・ 「逃げるなよ、(ワン)!」 「早く(つか)まって下さいよ~。いつまでイタチゴッコするんっすか!?永遠に終わらないっすよ!」 畑の中でナイトをつかまえようと2人が順番に飛びかかる。 ナイトはとりあえずこちらに向かってきた紫色の髪の男を組み伏せてみる。 「(ワン)、本気じゃないんだろ?なぜ俺と闘ってくれないんだ?」 押さえて地面に顔面をつけようとするが腕をつっぱねて耐えている。 そこに紺色の髪の男が頭上から蹴りをいれてくる。 逃げるしかないか。 「よっ」 紺色髪の男の足は倒れていた紫髪の男の顔の横の土にめり込む。 「あっぶな!お前、俺を殺す気か!!」 顔に被った土を振り払いながら紫髪が言った。 「寝転んでる方が悪くないですか?(つか)まえなきゃいけないのに(つか)まってるしね。」 「うるせーな!新人のくせに!」 「新人かどうかは関係ないでしょ!」 「もう行っていいか?」 「駄目っすよ!何言ってんすか!」 「いや、もうこのへんでいいだろ」 「は?」 「闘う気がないなら闘う意味がない。」 「いやいや、何言っちゃってるんですか!?ぼくたちが陛下にボコられ、、、ウッ」 紫髪が藍色髪の男を殴り気絶させる。 そして肩に担ぐと背を向けた。 「新人を連れて来たのが間違いだったぜ、、、魔剣はくれてやる。こっち(ウェールズ)には腐るほどあるしな。そもそも今回の目的はお前を捕らえることじゃない。この意味がわかってんだろな?」 「わかっている。」 そんなことはわかっている。 そもそもそんなことをしてしまったらあの手紙の意味が本当になくなってしまう。 「ふんっ!礼ぐらい言ってくれてもいいのによ!とにかく、(ワン)、今のお前じゃ駄目だ。お前の強さを取り戻すために俺は陛下に女王の首を先にとることを提案しておくぜ。」 「勝手にしろ。」 「おー、相変わらずつめてー野郎だ。俺が言えたことじゃねーけどな。じゃな!」 「・・・。」
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