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それを見たエリアスはぼそりと呟いた。
「私は引き返すことを提案します。」
「ビビんなよ、坊ちゃん隊長。」
揶揄(からか)うようにライトがエリアスの肩に手を置く。
それをエリアスは素早く振り払った。
「私は陛下の安全を考えてだな、、、、」
マコトの耳には臣下達の声はもう届いていなかった。
ベルナール卿の後をついて行きながら、周りを見渡す。
目を合せた物乞い達はこそこそと路地裏に隠れ、家の隙間からはこちらを伺うような人の気配を感じる。
我々の様子を息を殺して見ているようだ。
「ベルナール卿、ここはいつもこんな感じなのでしょうか?」
「卿、なんて恐れ多いです、陛下。どうか、ベルナール、と。」
「わかりました、ベルナール。」
「このあたりですが、そうですね、、、いつもは数件の露店が出ていますが陛下の思うような露店ではないかと。」
「そうですか。この町の門ですが門番は雇ってはいないのですか?」
「ここ2年くらいはいないですね。その、、情けないことですがそこまでの余裕がなく。」
「それでは盗賊が入り放題ではないですか!」
エリアスが驚いたように声をあげた。
「その通りです、、、が、この街から取るものなんてありません。」
確かに、とつぶやいたライトをナイトがこづく。
しばらく歩くと街を抜ける。
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