かえってきたお兄ちゃん

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かえってきたお兄ちゃん

昨日、お兄ちゃんが死んだ。 元々、病弱だったお兄ちゃんは常に入退院を繰り返して とうとう16年の生涯を閉じたのだ。 両親は病弱なお兄ちゃんを何とか救いたかった。 その心の隙間に付け入られ、6年前、新興宗教に勧誘されてしまったのだ。 宗教は人の心を狂わせる。 両親はお兄ちゃんが死んだというのに、涙一つ流さなかった。 私は、一晩中泣き明かしたというのに。 「かおり、そんなに悲しまなくていいのよ。 お兄ちゃんは必ず復活するのよ。 ジザス様がお救いくださるから、大丈夫なの。」 母はそう言い、微笑む。 私は母に猛然と食ってかかった。 「神様なんていないの!まだわからないの? お兄ちゃんが死んだってのに、目を覚ましてよ! お母さんたちは狂ってる!」 そう言うと、母は鬼のような形相で、私を殴りつけた。 「なんて罰当たりなこと言うの! ジザス様は慈悲深いのよ!お兄ちゃんを見捨てるわけないじゃない! 狂っているのはあなたよ!なんでそんなこともわからないの!」 それを見ていた父が私を庇った。 「お前、何も叩かなくてもいいじゃないか。 でも、かおりも悪いぞ?縁起でもない。おにいちゃんはきっと 復活するんだ。お母さんにちゃんと謝りなさい。」 私は少しでも、父に期待したことに腹が立ち、失望した。 狂人に何を言っても無駄だ。 私は自分の部屋に走って閉じこもり、鍵をかけた。
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