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しかし、1週間も経てば、ちょっと様子は変わってきた。
家中にお兄ちゃんの腐臭が漂っている。
お兄ちゃんの顔色も、土気色になってきて、多少崩れてきている。
これはさすがにまずいのでは、そう思い、再度両親に
きちんと死体の処理をするように言ってみた。
でも、やはり応えはわかりきっていた。
烈火のごとく怒り、もう少しで復活するのだ、と言い張るのだ。
2週間もすると、お兄ちゃんがだいぶ変形してきた。
人間の形をかろうじてとどめている。
臭いはもう強烈だ。
私はなるべく、自分の部屋にお兄ちゃんの臭気が入ってこないように
密閉した。そして、食事も自分で買ってきて、自分の部屋で食べた。
もうこれは限界だ。
友人の家にでも居候させてもらうか。
私がそんなことを考えていた矢先だった。
ある朝、学校へ行くため、下へ降りていくと、ダイニングの椅子に
お兄ちゃんが座っていたのだ。
信じられない。本当に蘇った。
肉が腐って垂れ下がり、ほぼ顔はお兄ちゃんだとはわからない。
私は吐き気を催した。
「かおり、心配掛けてごめんな。俺、帰ってこれたよ。」
懐かしいお兄ちゃんの声だ。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
私は嗚咽した。
「ね、言った通りでしょ?
ジザス様は、お兄ちゃんをお見捨てにはならなかったのよ。」
両親は満面の笑みで私を見た。
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