かえってきたお兄ちゃん

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お兄ちゃんは蘇ったのだけど、相変わらず肉体は腐ったままで 歩くたびに臭気を撒き散らし、やはり吐き気を抑えられない。 お兄ちゃんが蘇って3日目の夜、私はうっかり自分の部屋の鍵を掛け忘れ 勉強していたら、いきなり腐臭が漂ってきて、振り返ったら お兄ちゃんが立っていた。私はまだその容姿に慣れておらず 心臓が止まりそうなほど驚いた。 お兄ちゃんとは言え、見た目はゾンビ、リアルゾンビなのだから。 「そんなに驚くなよ。俺だってこんな姿になんてなりたくなかったのだから。」 そう言われ、私は、お兄ちゃんに悪いと思った。 「ごめんね。どうしたの、お兄ちゃん?」 「久しぶりに勉強でも教えてやろうか?」 そう言いながら私に近づいてきた。 やはり臭いは強烈で、吐き気がした。 なんとか耐えて、勉強を教えてもらうことにした。 私がノートに向かうと、机の上に腐敗したお兄ちゃんの手が乗って お兄ちゃんは、私の耳元でこう囁いたのだ。 「お前、うまそうだな。」 私は驚いてお兄ちゃんの顔を見た。 黄ばんだ歯が、腐った唇の隙間から覗いた。 笑ったのか? これは、お兄ちゃんではない! お兄ちゃんのぬるりとした手が私の手を掴んだ。 私は、今まで出したことの無いような悲鳴をあげた。 強く引っ張って抗うと、お兄ちゃんの手のひらの皮がずるりと剥けて 私の腕に張り付いていた。 「いやっ、いやぁあぁぁ!」 私はお兄ちゃんを力いっぱい部屋の外に突き飛ばした。 すぐに、鍵を掛けて部屋に閉じこもった。
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