3.謎の男

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 再び扉が開くと、リクは驚愕した。  目の前には地下鉄のプラットフォームがあった。プラットフォームといっても極めて小ぶりだ。地下鉄の車両一台分くらいの長さしかない。だが、確かにそこは「駅」だった。 「月に地下鉄があったなんて…」  リクが思わずつぶやくと、男は事もなげに言った。 「数分で着きます。お乗りください」  男が指し示す先には、四人ほどが乗れる小型の車両が停まっていた。流線型をした透明な外殻は銀色の卵を思わせる。大きさはサバーバンくらい。ピカピカに磨かれ、工場から出荷されたばかりのような輝きを放っていた。 「心配する必要はありません。とても安全な乗り物です」  男はそう言うと、さっさと車両に乗り込み、運転席と思われる座席に着いた。しかし、男の目の前には小さなディスプレイがあるだけで、運転に必要と思われる装置は何一つなかった。 「どうぞ、お座りください」  リクは勧められるまま、男の後ろの席に腰を下ろした。  小さな電子音と共に扉が閉まった。二人を乗せた車両は滑るように「駅」を離れた。
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