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出会い編
二十年ほど前に、いくつかの星との惑星間外交が始まってからその制度はあると聞いている。
俺たちが生れる前に始まったそのそれは、もう当たり前の様に日常となってしまっている。
異星からの留学生受け入れ。
見た目の大まかな特徴は地球人とそれほど変わらない留学生たちは、それでも大体二つの地球人との違いがある。
一つ目は血の色が青いことだ。
これだけは他のどの星でもそうらしく地球人だけが赤い。
とはいえ、高校生にもなってそんな周りに周知できるほど出血するなんてありえないことだ。
基本的に地球に来るのは異星人の中でも上流階級の人間の子弟らしい。
そんな人ケガさせたら責任問題になりかねないのだ。
だから、大体はもう一つの特徴で見分ける。
「大体、見れば分かるのに、何故留学生って事隠すんだろうね?」
入学式が終わった教室の雰囲気はどこか浮ついている。
女子が弾んだ口調で言うのには理由があった。
もう一つの見た目の特徴というのが、異星人は大層な美形が多いらしいという点だった。
先生の話によるとこのクラスに異星人は2名在籍しているらしい。
で、うちのクラスにいる美形は男子二人。
ほぼ明確に答え合わせができてしまっている状況で、皆さんとの交流のために誰が留学生かお伝えしませんといわれてもいまいちピンとこない。
記念撮影を待つざわついた教室で、前の席の人間が振り返る。
「みんな、宇宙人に興味持ちすぎだよな。」
少し髪色を明るくしているものの全般的にやぼったい雰囲気のするクラスメイトはもしかしたら高校生デビューってやつかもしれない。
俺と似たような平凡な雰囲気をまとっていて、高校生デビューすらできなかった俺にとって妙な親近感が沸く。
「まあ、一クラスに二人もいるって結構珍しいから。」
友達を作るためには初日が肝心。なるべくとっつきやすそうな笑顔を浮かべようと頑張るが、上手くいってるのかは知らない。
「らしいな。」
「……あと、宇宙人って言い方やめといた方がいいよ。」
蚊のなく声ってこういうのを言うんだろうって声量でクラスメイトに伝える。
宇宙人って言葉は、差別用語としてあまり使わない方がいいらしい。
横にいた女子が睨んでいるのが分かる。
「ああ、そうなんだ。ごめん。」
その位好きにさせろと怒られるか、こいつめんどくせえやつって思われるかするかと思ったけれど、クラスメイトはニコニコと笑って謝った。
「いや、謝るような事じゃないよ。」
慌てて言うと、面白そうにクラスメイトは笑う。
「俺、水野 涼介(みずのりょうすけ)。
君は?」
「おれ、武藤 雨音(むとうあまおと)。
よろしく、水野さん。」
「ああ、よろしく武藤君。」
平凡な俺の唯一の特徴である名前に水野君は変な顔をすることもなく笑顔のまま挨拶をしてくれた。
それが嬉しくて笑い声が出てしまいそうになる。
「3組の番です。校門前にお並びください。」
記念撮影の順番がまわってきたらしく会話はそこで中断してしまう。
「武藤君、行こうか。」
「うん。」
仲良くなれそうなクラスメイトがいて少し上がったままのテンションで返事をすると、水野君がさらに笑みを深めた。
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