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 花音は子猫の瞳に涙を湛えていた。大輝はなんといって慰めていいか戸惑うばかりだった。恐らく花音は両親に会えない寂しさをその小さな躰で必死に耐えているのだろう。大輝もとても寂しい気持ちになった。  8月30日に花音の両親がやってくることはなかったようだ。 大輝は花音にキャラクターのお姫様変身コスチュームセットをプレゼントした。  花音は驚喜し、大輝に抱きついてきた。 彼女はその小さな両腕をわなわなと震わせながら、何度も大輝に礼を言った。  花音は本当に嬉しかったようで、しばらくは変身キャラクターで朝の見送りをしてくれた。花音の喜びように大輝も心が溶かされる思いがした。
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