7

2/5
210人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
 11月20日の水曜日、大輝はいつものように周囲に眼を配りながらアパートへの道を歩いていた。いやに風の強い夜だった。大輝は自分の前を歩くひとりの男に気づいた。男は暗い色のニット帽を被り、黒いジャンパーを羽織っている。どうやら下のズボンは建設作業員が履く作業ズボンのようだ。  大輝は高まる鼓動を抑えながら、静かに男を尾行した。 角を曲がるとき、男が黒いサングラスをかけているのが見えた。 冬の時期、しかも夜にサングラスをかけるということは即ち、自分の顔を隠したいのに違いない。 大輝は男と一定の距離をおきながら、慎重に後をつけた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!