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11月20日の水曜日、大輝はいつものように周囲に眼を配りながらアパートへの道を歩いていた。いやに風の強い夜だった。大輝は自分の前を歩くひとりの男に気づいた。男は暗い色のニット帽を被り、黒いジャンパーを羽織っている。どうやら下のズボンは建設作業員が履く作業ズボンのようだ。
大輝は高まる鼓動を抑えながら、静かに男を尾行した。
角を曲がるとき、男が黒いサングラスをかけているのが見えた。
冬の時期、しかも夜にサングラスをかけるということは即ち、自分の顔を隠したいのに違いない。
大輝は男と一定の距離をおきながら、慎重に後をつけた。
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