3

1/4
210人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ

3

 ある朝、大輝は高橋さんとアパートの前で遭遇した。 互いに挨拶を交わしたあと高橋さんがおもむろにこう尋ねた。 「あの……ぶしつけな質問なんですけど…鈴村さんのお誕生日っていつですか?」  唐突な質問にキョトンとする大輝を見やりながら高橋さんは言った。 「あはは、突然すみません…実は花音(かのん)が鈴村さんのお誕生日にプレゼントを渡したいっていうものですから…といっても子供のことだから、きっと近所で咲いているタンポポかなにかを色紙に包んで用意することぐらいしかできないと思うんですけど……」  大輝は慌てて 「いえいえ、そんな気を遣っていただかなくても……」と返答した。 「あまり大袈裟に考えないで下さいね。ほんの子供心ですから……」
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!