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大輝が中学生の頃だった。大輝が住んでいたマンションの同じ階にとても人懐っこい女の子がいた。
そのマンションは都市部のベッドタウンとして開発された山間の町に建つ新築で、入居者にも若い夫婦が多かった。大輝の父親は商社勤めの実直な男で、そのときは名古屋に単身赴任していた。母親は高校の数学教師であり、一人息子の教育にはすこぶる熱心だった。
女の子の名前は小春だった。大輝が住む4階の廊下やエレベーターホールでよく一緒になった。小春も恐らく3歳ぐらいだった。
母親に連れられた小春は大輝に出会うと満面の笑みを浮かべながら「お兄ちゃん!」と言いながら手を振ってくる。
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