君の宛名は。

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 翌々日。  三通目の『赤塚洋子』宛のハガキを受け取った。 『洋子、もう元通りになろうなんて、思っていない。ただ謝りたい。これで最後にする。連絡を待つ。 正人→✉️masato.love-youko@xxx.ne.jp』 「マサト・ドット・ラブ・ハイフン・ヨウコ! マサト、無防備すぎるよ、マサト!」  一縷(いちる)の望みをかけて、全てをリセットした赤塚洋子に向けて猛アピールしていることだけは、よく分かった。  正義感に駆られた真梨は、矢も盾もたまらずメールの新規作成画面を立ち上げると、「マサト・ドット・ラブ・ハイフン・ヨウコ」と口に出しながら送信先を打ち込んだ。 『件名:ベルファームハイム305号より 本文:正人様。おハガキ受け取りましたが、赤塚洋子さんはすでに退去されています。どうか、お二人が再び話し合えますようお祈りいたします。現住人より』  間髪入れず、まさに秒で返信がきた。 『件名:ありがとう 本文:君はいい人だね。僕の思った通りだ。君を見かけて、君と繋がりたくて、嘘のハガキを出しました。赤塚洋子なんて、存在しません。正人も偽名です。君の名前を教えてほしい』 「ストーカーかよ! ていうか、お前が誰だよ!? まずは自分が名乗れよ!!」 <END>
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