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重い気持ちだったのに、母の呆れた口調に少し笑ってしまった。自分の言いたいことだけ言って電話を切る、父はいつもそう。
そして今回は、父が一方的に電話を切ってしまったので、断るにしても、こちらから電話をするなり会いに行くなり、何らかのアクションを起こさなければならなくなった。
「ホントにお父さんは相変わらず、どうしようもないことばかり言い出すね」
「どうしようもない?」
「そう!プレゼントなんて相手に喜んでもらう為に贈るものでしょ?そんな女の人がついてくるマツヤマの料理なんて、美穂子は喜ばないし、欲しくないんじゃない?」
確かに喜んではいない。その時点でプレゼントでは無くなっていたのか。
「それに!美穂子、ちゃんと考えた?優人さん、花穂ちゃん、洋人くんも嫌でしょ、そんな女の人が家に来て、一緒に食事だなんて」
本当だ。母に言われるまで夫や子ども達の気持ちにまで頭が回らなかった。自分の気持ちしか見えてなかったという事だろう。
「だけど、なんか断りにくくて…」
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