遠い空から

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「どうして?」  どうしてだろう。家を追い出されたとはいえ、自分の父親だ。ケンカしたい訳じゃない。  祝いたいと言ってくれている人を、無下に断ることが、大人気ないような気がしたのかもしれない。  それに。 「誕生日って、祝ってもらう日じゃなくて、産んでくれた親に感謝する日、って言うでしょ。それで…かなぁ。」  娘が通っていた幼稚園では、毎月の誕生日会の度に、園長先生が同じ話をされていた。「誕生日は親に感謝する日」だと。そして一つ歳をとるということは、我慢出来る事が一つ増えなければいけない、それが成長なんだと教えていた。毎年、誕生日会に聞いたその話に、自分自身も成長しなければと思っていた。 「そんなの!」  母が今までよりも少し大きな声で言った。 「そんなの、感謝なんか別の時にすれば良いの。プレゼントも、欲しくないものを受け取る必要はないし、食事会も無し!」  母の言葉に、ああそうか、とストーンと解決法が胸の中に落ちてきた。簡単な事だったのだ。  父に「二人で行っていいか?」と聞かれてから、私の中では、二人で来てもらうか、父一人できてもらうか、二つの選択肢しかなかった。どちらにしても、父に返事し辛いと悩んでいた。  食事会そのものが無し!それでいいのだ。
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