遠い空から

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「お母さん、料理のこと聞いたら、なんか機嫌悪かったもんね」 「だって適当にしかやってないのに、美穂子が “これどれ位入れるの?” とか聞いてくるから」 「だって!聞かないと分からないもん」 「だから、そこが適当なんだって」  母の手際の良い畳み方を眺めながら、昔のことを思い出していた。一緒に料理した数少ない記憶。私が「どれ位?」って聞くと、母が「そんなの適当!」って答える、そんなやり取りが思い出された。 「だからか、お母さん。私が結婚する時、分厚い料理本くれたね」 「あぁ、あれねぇ」  母は笑いながら何かを思い出している様子だった。 「美穂子に料理のこと聞かれても答えられないから、これでも渡しとけ、って思ってね」
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