村上に宛てられた手紙

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◆◇◆ 「なあ飯島、お前今どこにいるんだよ」  罪悪感に背中を押してもらいたかった「お前も同じ痛みを受けろ」と、だが俺は屋上に立ったまま何かに押されることもなく、ただ、ビルの間をすり抜けてくる焼けるような夕日を眺めていただけだった。  重い足を引きずりながらオフィスに帰ると、部長と課長からの説教が待っていた。どこでサボっていたのかを問いただされた。隠す必要はない。もうどうでもいい。どこにいたのかを正直に言うと、一ヶ月の謹慎処分と診療内科に行くことを進められた。一ヶ月も会社にいかなければ確実に俺の居場所は無くなる、上林がリーダーとなって新しいチームを作るだろう。それは自主退社を突きつけられたと同じことだった。  妻にどう言う、娘にどう言う、家に帰れない俺の足は、あの手紙にあった山の上公園にある秘密基地に向かっていた。  飯島と最後に過ごした場所、あの日完成した基地にはその後行っていない。飯島があの場所で俺に仕返しをしようと待ち構えているのではないのかと思うと、怖かった。  月明かりだけが映し出す暗い公園だった。ところどころ遊具が無くなっていたが、当時の面影はしっかり残っている。滑り台や砂場がこんなに小さく見えるのは、俺が大きくなったからなのだろうと、懐かしんだ。  そんな公園の奥、生垣を越えた先に一本だけやたらに大きい木があった。 「まだあったんだ……」  楽しかった思いでを噛み締めるように声が出た。さすがにその根本に作った基地は跡形も無く雑草に覆われている。  約束の時――――  ちょうど月明かりが足元をを照らした。  約束の場所―――― 「そうだ!」  頭の中が高速で巻き戻された。俺は、俺達は……
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