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序章 空から
月光のアカデミー 新たな越境者
学園国家アカデミーにおいて、定期的に障壁防御により飛来物を弾くという、新たな業務が初まっていた。
突然大気圏を突破し、中央大陸を消滅させ、核の冬の到来を目論んだ環境テロ、小惑星アララギショックは未だ冷めやらず、落とした主犯、マクシミリアン・デルピエールは数百人の国民達にフルボッコにされたのだった
ボコボコになった顔で星がもたん時が来ているのだとか言ったのでまた蹴られたのが印象的だった。
大急ぎで対策がとられた。迅速な監視体制と実働隊の組織。
宇宙からの脅威にアースツーは沸いていた。
何人かの文人が宇宙人の襲来とか世界の文明の起源は宇宙人にあるとか騒ぎ、出版された本は結構売れたらしい。
映像コンテンツの輸入考えんとな。
やっぱりハリウッドは宇宙からの襲撃者を撮りたがっているようだ。
DVD買おうかな。
何だろう、ルルコットとかが超人ジュースとか作りそうだよな。
必殺技はぶるあああああ!アタックで。
アカデミーの最深部で、一仕事終えたミラージュ・デラ・ウィンシュタット女王は、用意させた机の上に置いたエールを飲み干し息を吐いていた。
アースワンは崑崙山製の仙桃酒だった。勘解由小路経由で輸入されてきたものだった。
「あー。仕事終わりの一杯最高だわ。アースワンに送った人材については後でゆっくり話しましょう。ダーリン。愛してるわ」
携帯で、ミラージュは愛人に言った。
その時、国王ジョナサン・エルネストは、携帯で愛人からのラブコールを受け、携帯を懐にしまって空を見上げていた。
時刻は夜。夜空は無数の流星が飛び交っていた。
「いつもながら綺麗な流星だな。しかし最近妙に多いな。しょっ中流星だよ。カノン。綺麗だろう?空は」
娘のカノンは13歳になっていた。
今年から始まったアカデミーに通っていた。
幾分大きくなった背丈は、ジョナサン譲りと思われた。既に母親のユノの背丈に近づいていた。
赤い豆スラを肩に乗っけたイシノモリ・カノン・エルネストは、父親と並んで空を見上げていた。
キラキラしたヘーゼルの瞳が、ふと何かを感じて眉を寄せた。
「パパ。気を感じます」
「どうした?魔王か?それともゴーマがいきなり転移してきたのか?あいつとは携帯で繋がってる。三つ子が可愛い可愛い言っててありゃあ冥王ハデスなんかじゃない。ただの馬鹿親だぞ」
呑気なことを言った父親は、アースワンの代表者のことを話題にしていた。
「ゴーマのおじちゃんじゃありません。感じたことのない気です」
「何かしらこれ?」
豆スラは空を見つめて言った。
「小ンニュラも気づきましたか?」
「シルフェンヌだっつっとろうがゴラあああああああああ!あ、落ちてきたわ」
モウモウと砂煙を上げて、突如それは降ってきたのだった。
「あー。何だろう。こういう時ちょうどいいアースワンジョークがなかったっけ?」
「パパ。空から女の子が」
「ああそれだ!で。誰なんだろうな?この子は」
気絶した少女は、奇妙な前時代的な扮装をしていたのだった。
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