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「なぁ、あの便箋は晴が選んだの?」
「おまえ覚えてないの?」
「え?」
「あれはおまえが俺にくれたんだよ。1年の時の文化祭の景品で昭が当たったやつ。手紙なんて書く事ねぇからやるよって。俺だって手紙なんてって思ってたのにな……まさかだよ。」
晴はそう言ってふわりと笑った。いつも真面目な顔して、グチグチ文句ばかり言われていたから知らなかった。いや、ちゃんと見ていなかっただけか。
そんなに優しい顔で笑うなんて。
次はメガネを取った姿で笑う所も見てみたいな。
可愛い泣き顔もまた見たい。
長い睫毛にも触れてみたい。
なんて、直接言うのは恥ずかしいから俺も手紙を書こうかな。淡いブルーの封筒に金色のクローバー……じゃなくて、俺はピンクのハートにしよう。
すぐにラブレターだってわかるように。
だけど……
「 俺も好きだよ。」
愛の言葉だけは直接ね。
「え? そんな……まさか……え?!」
ね。俺もそう思う。漫画以外でもまさかは案外起きるんだって。言われて初めて気付く想いもあるんだって。
出会ってから1年と半分。毎日のように一緒に居たのに気付かないなんておかしいって思うよね。
でもさ、そんなに驚かないでよ。
俺はだらしがなくていいかげんな奴だけど、好きでもない人とキスしたりなんかしない。
約束だってたまには守るよ。
だから……
「晴、おいで。」
広げた両手の中に、恥ずかしそうに、戸惑いながらも晴がやってきた。
スプリング ハズ カム!
ようこそ、俺だけのハル。
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