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「次……もしも返すのを1日でも遅らせたらおまえとはもう口を聞かない。」
3日前、なしもっちゃんから言われた言葉に呆然とした。
いつも真面目だけれど、いつもにも増して真面目な、真剣な……いや、思いつめたような表情でそう言ったなしもっちゃんの言葉が何度も頭の中でリフレインした。
おまえとはもう口を聞かない。
おまえとはもう口を聞かない。
おまえとはもう口を……
いやいやいや、小学生じゃないんだから。そーいうのはどうかと思う。
だけど、なしもっちゃんなら本当にやり兼ねない。奴はそういう男だ。
俺はなしもっちゃんに口を聞いてもらえなくなるのは嫌だから、今回は絶対に約束を守ると心に決めたのだった。
って随分前置きが長くなってしまったけれど、要するに風邪をひいて本来なら学校を休む所を、約束の為に遅れながらも学校に来たって話。
そしてだ!本題はここから!
誰もいないエントランスで自分の靴箱を開けたら……
なんと、ななんと!!!
これは世に言うあれじゃん!!!ってものが入っていた訳。
悲しいけれど俺は17年間生きてきて女の子からモテた事は一度もないし、なんなら親しい女友達だって一人もいない。もちろん彼女なんて存在は…………
言うまでもない。
そんな俺に、そんなそんな俺に!!!
やっと、春がやってきた!!!
「遅かったじゃーん!もう来ないかと思ったぜ〜!」って春の肩をポンポンと叩きたい気分だ。
まぁ……出来ないけど。
そもそも触れられねーわ!なんて心の中で自分に突っ込みを入れてから、ふぅと息を吐き出した。
そして震える手でそっと薄い封筒を手に取る。
淡いブルーの封筒に金色のクローバーの小さなシールが貼られたそれは、キラキラと光っていてとても綺麗だった。
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