33人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく見惚れた後で、そっと鞄の中にキラキラをしまった。
高鳴る鼓動とヘラヘラとした緩みっぱなしの顔面を引き連れて足早に教室まで向かう。
今すぐ読みたい。
今すぐ読みたい。
今すぐ読み……
いや、待て待て。なしもっちゃんに漫画を返すのが先だ!その後保健室にでも行って、ベッドの中でゆっくり手紙を読むのだ!
教室に着いたのはちょうど1時間目が終わった休み時間だった。教室に入ってすぐになしもっちゃんを見つけて、ぶんぶんと手を振った。
ちょっとテンションが高めなのは許して欲しい。
なしもっちゃんはトレードマークの黒縁メガネをクイッと押し上げてから俺を見やった後、すぐに視線を逸らした。なしもっちゃんのメガネクイッは緊張している時にする仕草だ。
あれ? どうしたんだ? なしもっちゃん、何かあったの?
いつもならすぐに俺の所へやってきて、開口一番何かしらのお説教が始まるのに。今日なんて遅刻してきた訳だし……お説教のしがいがある筈なのに。
首を傾げ、おかしいなーと思っていたらチャイムが鳴って、俺は慌てて教室を後にした。
漫画を返すのは後にしよう。今日中なら大丈夫な筈だ。あ……保健室に行く事、なしもっちゃんに言えばよかった。
まぁ、いっか。なしもっちゃんの事は気になるけれど、今はもっと気になる事がある!
最初のコメントを投稿しよう!