時を越えて続く未来

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あれから何十年の時が経っただろうか。 朔は建設関係の会社で、建築士として働いていた。 きっかけはあの古びた洋館だった。 あの洋館に心惹かれ、建築に興味を持った朔は、必死で勉強して大学の建築学部に入学した。そして、建築士になったのだった。 あの丘の上にある古びた洋館は、今は紫陽花の名所と言われる庭園のある喫茶店になっていた。 数年前に、小鳥遊家がもう使わなくなったあの洋館を取り壊すと言うので、朔が設計を担当して紫陽花の庭のある喫茶店に改築したのだ。 朔は、休みの日によくこの喫茶店で過ごす。 気の良い中年の喫茶店の店長とは、親友と言っても良いほどの仲だ。 この日も、テラス席で紫陽花を見ながらコーヒーを飲んでいた。
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