悪文

1/6
前へ
/6ページ
次へ
 祖母が死んだ。  言ってしまえばそれだけのことで、なにか特別な事件が起きたわけでもない。  八十近くになってもかくしゃくとしていた祖母は、老人ホームにも入らず、ずっと一人暮らしを続けていた。  年末年始は向こうから会いに来るほど達者で、私の中では百まで軽々生きそうなイメージだった。  その祖母が死んだ。  死因は心臓発作。  入院もせずにぽっくり亡くなったという話なので、まあ大往生の部類だろう。  それだけの話だ。  ただ、それだけで済まないことも多々あり、こうして私は駆り出されている。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加