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 スナック花弁はこんなふうに毎日、常連客と、ママと翔子、それからバイトのメンバーでいつも賑わっていた。  それが当たり前の風景で、ここに来れば、ママや、翔子にいつでも会える。会って、たわいない話をして、一緒に酒を飲んで、それで、明日の仕事も頑張れる。そう思って集まる人々が、癒しを求めてやってくる。  人は誰でも、笑顔で酒を飲むことが出来れば、心のわだかまりが出来ても、それすら溶かしてくれる魔法がある。  そう、誰もが、この当たり前の日常が、ずっと続くと思っていた。  だって、まさか、自分たちが楽しく過ごしている時間を共有できる人に出会って、悲しむことが突然起こるなんて思うわけがなかったからだ。
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