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そして結婚式。
タキシードを着た聡はそれはそれは素敵だった。足の長さが強調されるグレーのタキシードのポケットには赤いバラが挿してあり、白く綺麗な肌が更に強調されていた。
「聡…。本当に素敵!」
「はははっ。それは花嫁さんに言う言葉じゃない?先越されたなぁ。早苗の方が綺麗だよ。世界一の花嫁だ。」
結婚式に来ていた早苗の友達や同僚達は、聡のルックスの良さとハイスペックな経歴に終始驚いていた。
「早苗の旦那!まじでイケメン!!高学歴だし、しかも財閥系の商社で、海外経験有りでしょ?信じられない位いい相手じゃん!!」
友人達から称賛されて、早苗も鼻高々だった。
お金に糸目はつけないから、好きなだけ結婚式に使っていいよと言われた早苗は、かなり豪華絢爛な結婚式に仕上げた。
どこかで変にケチったら、結婚式に行きなれた30代の目は誤魔化せないと早苗は知っていたからだ。
さすがにやりすぎたかなとも思ったが、早苗は聡の母親の為に心に残る結婚式にしたいということを聡に伝えていた。
本当は自分の虚栄心を満たす為だった。
そんな薄っぺらな自分がバレているような気がして、気が気じゃなかった。
しかし、聡の母親は終始涙を溜めて、式を眺めていた。
その姿を見て聡も安堵の表情を浮かべていた。早苗も心の底から安心した。
早苗は自分だけではなく聡にとっても満足のいく幸せな結婚式を挙げることができたのだと心から喜んだ。
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