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かの地
かの上杉鷹山公が、初めて参勤交代にて米沢の地に立ったのは、なにやら慌ただしい気配に…上杉の御家事情が重なって居た。大殿は一切何も口出しをなさらないが?ただ、本来なら、有り得ない縁組と、複雑な歓迎のされ方に、米沢番存亡の危機で仕方無く婿入りさせた事実は、後の鷹山公としても薄々は理解していた。この婚姻、家臣が全て納得した訳ではなかった。かかる困難を打開する為の苦肉の策で、その様な陰口が江戸の上屋敷でも囁かれている。赤穂浪士討ち入りの結果、時の老中柳沢様が家督の相続に難色を示したのだった。
『大殿がはいそうですかと思う訳は無い…』
吉良様は、柳沢様から良く思われて居なかった。最期の戦国武将の気概をお持ちだったと聞く、尊敬されている父のお気持ちを察したならば、尚更複雑な事だろう。
「成る程!雪とは凄いものだな!?」
見渡す限り白い世界である!極寒の朝に吐く息も白いキラキラと光り物に変わる。着いてきた家臣がなんとなく俯いた。
どのような感情が下に在るのか?
わからない
白一色の耀きの中では、どうでも良い事だった。
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