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風花
「この景色を姫に見せたいと思うのは、罪な事であるか?」
不意に発した言葉に、どう答えたら良いのかわからなかった。極寒の白く美しい景色を江戸の妻に見せたいと思う?どう発言したら、よろしいのか戸惑う自分が居た。上級の出であれば?陰で嘲笑うのであろうか?沈黙が不可能の意味を通す。
けれど…言葉の奥を知って居ればこそ
「君子は夢を語ってはなりません…確かにそうだったな?」
極寒でも、バカにされても大殿はこの景色を美しいと眺めておりましたよ。あの討ち入りの顛末の後は、殊更に…その様子が何故か胸に刺さった棘となって、今甦る。暫く返事を返す事が出来なかった。言葉の奥を知っていればこそ…
「あの方は、このような厳しい寒さに、耐えられぬ…江戸におられる方が良いのだ。」
意を決して話さねばならぬ。
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