再生される海で。

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再生される海で。

耳から入って残ったものは、 瞼の裏で投影されてゆく…… 人はそれを思い出と言う、 苦い思い出かもしれないが 世の中は悪い事ばかりではない。 人の脳は不思議で繊細、 どんな嘘つきや愚か者でも 己の脳を騙せやしない。 良い光景は音で記録され、 悪いものには蓋をする。 多人数より二人称、 誤魔化せなかった己が居たから。 悩んだり迷ったり、 笑って居たり僧もあったり。 何気なく見て居たものは、 耳から入り瞼の裏に焼き付いて 経験とトラウマに再生される。 振り返るなと誰かは言うが、 脳のためには再生しろと 己のためとこれからのために。 良い音を感じたら、 必ず振り返るのも大切な小休憩。 だからまた、ここに居る…… 瞼の裏と目の前が重なる場所、 海を眺める自分の背中。 好きでも嫌いでもない、 再生するより人が居ない 少し狭く感じた海岸沿い。 海の音を懐かしく思いながら、 遠いこれからを好きになるために。
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