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昔から人付き合いが苦手で、場の空気を読むことが出来ず、何気に発した一言が原因で子供会の保護者とトラブルになり、それ以降、直矢の同級生や保護者から白い目で見られ辛い思いをした遥。
いつも人の目を気にしびくびくしていた。毎日生きた心地がしなかった。
今時パソコンもろくに操作できない、物覚えも悪い遥に信孝は苛立つことなく、嫌な顔一つせず笑顔で手取り足取り教えてくれていた。
「どうした?」
「すみませんぼぉーとして」
慌てて首を横に振り俯く遥。
「・・・・指輪・・・・」
「指輪⁉あぁ、これか」
信孝が左手をパーに広げた。薬指には夏の強い日差しに反射しキラキラ輝くプラチナの結婚指輪が嵌めてあった。
「僕から直矢にプレゼントするの変かなって・・・・」
膝をもじもじさせ指を弄びながら顔を真っ赤にし小声でボソッと呟く遥。さすがの信孝もどう言葉を返していいものか戸惑っているようだった。
「取り敢えず直矢がプレゼントしてくれるのを待っていたらどうだ⁉そういうのは、普通男が好きな女に渡すものだろ⁉」
「そうなんだ・・・・すみません変な事を聞いて。信孝さんはナオさんにどうプロポーズしたんですか?」
「は⁉」
不意打ちの質問に手にしていたマグカップを思わず落としそうになった。
「俺達も聞きたいです」回りにいた社員たちが興味津々に二人の回りに次々と集まってきた。
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