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なかなか青に変わらない信号に焦りながら、キョロキョロと辺りを伺う遥。
よし、誰にも付けられていない。
ようやく信号が変わり、横断歩道を渡り始めた、まさにその時だった。
信号無視で一台の黒いワゴン車が突っ込んできた。
逃げ道を塞ぐように遥の前で急停車すると、ドアが開いて、黒服の男がぬっと顔を出した。ニヤリと薄笑いを浮かべながら凄まじい力で遥の腕を掴むとそのまま車の中に引きずり込んだ。
時間にして僅か数十秒。
あっという間の出来事に行き交う通行人はみな唖然とし、遥自身も助けて!と声を出すことも、護身用のナイフを取り出すことも出来なかった。
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