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「止めて!」どんなに叫んでも、どんだけ泣き喚いても、直矢以外誰一人この家には味方がいない。
着ていたシャツを引き裂かれ、力ずくで下着ごとズボンを剥ぎ取られ、脂っこい手に性器をじかに握られたとき全身が凍り付いた。
「そう固くなるな。すぐに気持ち良くさせてやるから」
ニタニタと愉しそうに笑う九鬼を、遥は悔し涙を流しながら睨み付けた。
「お前みたいな気性の荒いじゃじゃ馬、うちにもおる。可愛げがないガキで俺を拒みやがった……」
思い出すだけでも忌々しい、そう吐き捨てると、真っ平らな胸にしゃぶりついた。
「嫌……止めて下さい‼」
遥は九鬼の胸を手で押し、脚をバタつかせて何とか逃げようと男の体の下でもがいた。体格差、力の差は歴然としていてびくともしなかった。
ちょうどそのとき襖が開いて、直矢の監視役の森崎という男と、三年前まで鷲崎の手下だった和泉という四十手前の男が駆け込んで来た。
「九鬼さん、ここではあまり大きい顏をしない方がいいですよ」
森崎は九鬼に臆することなく鋭い眼光で睨み付けた。
「何だその口のきき方は。ワシは九鬼総業の若頭補佐、次期組長の九鬼善栄だぞ」
「それがどうしたんですか」
「はぁ!?」
九鬼が大声を張り上げた。
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