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三年目
三年目になっても夫の誠一は未だ、恋人とお付き合いが続いていた。
週2日の密会…月一の休日、3ヶ月に一度のお泊り。
コースや予定が全部似たり寄ったりで、もう誠一のスケジュールも組める位だ。
まだこの頃はわずかな希望も愛子の中には残っていて、少しは自分も愛されているよね?と愛子は考えていた。
だから思い切ってその話をしてみた。
「おはよう。はい、ご飯。お味噌汁置くわよ?」
「…ああ。」
今朝も夫は新聞を見て、妻の顔など見ていない。
対面に座っても興味なし。
「あのね?今日、産婦人科に行ってくるわね。」
食事をしながら、何気なく話した。
「へぇ……そうなんだ………。」
と言ういつも通りの気のない返事を聞いてから、無言で愛子は食事を進めた。
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