7751人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
冬の終わり
愛子が育児に追われている最中、誠一はそんな事も知らず、専務からの呼び出しを受けていた。
(とうとう来たか…。)
事業部の部屋の中での呼び出しに、彩香も心配そうに見ていたが、どうする事も出来ない。
出て行く誠一の後ろ姿を見送った。
「はっ?出向…ですか?」
誠一の耳に、重い罰が告げられる。
「ああ、子会社だ。前途有望な会社で小さいが、今、うちが大きく期待している所だ。そこの副社長として赴任して社長を助けてやって欲しい。心配するな!浮気は男にはある程度ある!まぁ、声を大きくしては言えないがな?上の人間もそう思っているだろうね?言えないだけだ。噂が本当なら、君を放置しては会社の内部女性が煩いし、何より奥様方を敵には回したくないだろうしな?
成果を出してくれれば、一年か二年で元通り、事業部部長に戻してやる!
私が約束する!必ずだ。」
「…はい。正式発表は3月ですよね?」
「ああ、それまでは内密に。4月からだ。宜しく頼む。」
「分かりました。失礼します。」
事実上の左遷だった。
最初のコメントを投稿しよう!