冬の終わり

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冬の終わり

愛子が育児に追われている最中、誠一はそんな事も知らず、専務からの呼び出しを受けていた。 (とうとう来たか…。) 事業部の部屋の中での呼び出しに、彩香も心配そうに見ていたが、どうする事も出来ない。 出て行く誠一の後ろ姿を見送った。 「はっ?出向…ですか?」 誠一の耳に、重い罰が告げられる。 「ああ、子会社だ。前途有望な会社で小さいが、今、うちが大きく期待している所だ。そこの副社長として赴任して社長を助けてやって欲しい。心配するな!浮気は男にはある程度ある!まぁ、声を大きくしては言えないがな?上の人間もそう思っているだろうね?言えないだけだ。噂が本当なら、君を放置しては会社の内部女性が煩いし、何より奥様方を敵には回したくないだろうしな? 成果を出してくれれば、一年か二年で元通り、事業部部長に戻してやる! 私が約束する!必ずだ。」 「…はい。正式発表は3月ですよね?」 「ああ、それまでは内密に。4月からだ。宜しく頼む。」 「分かりました。失礼します。」 事実上の左遷だった。
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