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佐和子の提案は、離婚に備えて弁護士に相談する事と、パートからでもいいから仕事をしないかというものだった。
「家に居たら余計考えちゃうでしょ?働いてたら忘れられるし、いざという時、お金があるとないとでは余裕が違うよ?子供が出来て旦那さんが愛人と別れてもお金は子供に使えばいいんだしね?少しずつ弁護士に相談していざという時、スパッと別れられる様にしておくといいよ。勿論、別れないで済むならそれが一番いいと思うけど、相談するのは悪い事じゃないと思う。」
(なるほど……一理ある。)
納得していると、仕事を探すのに協力するしと言われた。
前向きで明るい佐和子に気分が明るくなった。
数日後、佐和子から会社の弁護士さんを紹介すると連絡が入った。
「弁護士?いや…まだそこまで……。」
弁護士と言われて引いてしまう。
愛子自身、離婚までまだ考えていなかったし、誠一が反省して相手の女性と別れてくれたら、前向きに子供を検討してくれたら誠一を好きな気持ちを取り戻せる気持ちでいた。
「別に離婚を勧めている訳じゃないわよ?」
と佐和子に笑われてしまった。
「一人で悩んでモヤモヤしてる訳でしょ?私も愚痴は聞くけど所詮素人だしね。弁護士はその点、そういう話には詳しいし参考になる話も聞けると思うの。相談するだけなら気楽に話せるし、何より守秘義務があるから他に漏れる心配もないわ。」
「確かに…。いざという時の心の準備も出来るって事ね?」
納得をして愛子も答えた。
「そうゆう事!でね、うちの会社の弁護士だけど企業専門のらしくて、話は聞くし相談にも乗るけど、もしいざ離婚となったら専門の弁護士を紹介する形になるって。それでもいいかなって聞かれたの。いいわよね?離婚、決めてる訳じゃないんだし…。」
「うん、弁護士の方が良い方なら…それは全然…。」
「人柄は保証する。女性なの。52だったかな?お母さんに話す感じでさ、相談してみたら一人で悩むよりは良くない?」
「そうね?一人でいたら弁護士さんと出会う機会もないし…ありがとう佐和子。ごめんね?折角、帰って来たのに変な話聞かせて…。」
「私、愛子の事好きよ?損得なしで…。何も出来ないけど味方でいるから!忘れないでね?」
久し振りの友人の言葉に涙が出そうになった。
一人で耐えていたんだと思い知らされた。
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