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五年目
水曜日、誠一が珍しく真っ直ぐに帰宅した。
そう言えば、朝出掛ける時に残業で遅くなるとは言わなかったな…と思い出しながら玄関先まで迎えに行く。
「お帰りなさい。早いのね?」
カバンを受け取りながら言うと、
「残業ないからな…。」
と、呟いて愛子の前を通過して行く。
(あら?ばらしていいのかしら?)
と思いながら後ろを付いて行く。
「残業無くなったの?」
愛子の言葉にしまったと思ったのか、急に言い訳を始める。
「無くならないよ?残業が無くなるわけがないだろ?今日は、無かっただけ!朝、言わなかった?」
「朝、残業云々は聞いてないわね?夕ご飯要らないとは聞いてないから用意はしたけど……食べます?」
洗面所で手を洗う誠一を見つめながら聞いた。
「食べるよ?お腹ぺこぺこだからね。すぐ食べれる?」
「ええ、すぐ用意します。」
急いで準備を始めた。
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