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二年目
二年目になると夫の誠一は、二ヶ月に一度、日曜日に接待だと出かける様になった。
半年に一度はその接待が泊まりになっていた。
その日も誠一は帰宅すると夕食を食べながら、
「明日、接待で朝早い。」
と、愛子に話した。
「そう…何時に出るの?」
「んー8時位かな?」
「日曜なのに大変ね?」
「勝手に出るから、愛子は寝てていいよ?折角休みなんだからさ。」
「見送り位するわよ?朝ごはんもちゃんと食べて?接待でお腹が鳴ったら恥ずかしいわよ?」
笑いながら話す。
「そうだな?ありがとう、頼むよ。」
と、誠一の素直な返事が返って来た。
が、愛子は気付いていた。
愛子からしたら嫌がらせで、誠一からしたら迷惑な申し出だ。
本当は彼女と何処かでモーニングでも食べようと約束しているに違いないのだから、朝食などお腹が膨れるから食べたくはないのだ。
それでも誠一はお礼を言う。
そこに僅かな希望を持ってしまったりもしていた。
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