二年目

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昼食を食べて義母が帰り、愛子はいけないと思いながらパソコンを立ち上げた。 これは自分のノートパソコンで同じ機能を入れておいた。 「駅前に10時頃?もう少し早い時間かな?」 今のGPSは駅前の大きな百貨店の中を示していた。 「彼女と買い物?」 やっぱり見るんじゃなかった…と思いながらパソコンを切った。 「妻はお義母さんの機嫌を取って、気を使いながら昼食を作ってお出ししてお見送りして……愛人は美味しいとこ取りで、豪華なレストランで食事してプレゼントまでもらえるの?いいお仕事ね。それを言えば、愛人は妻は法律で守られて家で踏ん反り返っていいですね?とでも言われるのかしらね?」 くすりと笑い、気分転換に愛子も出掛ける事にした。 今日は夕飯は要らない、遅くなると、多分後でメールが入るだろうと予測したからだった。 誠一は入社して半年で出会った総務の愛子に対していつも評価が低かった。 何も出来ない子だと思っている。 それは正解で間違いではないが、いつまでもそうではない。 事実、苦手な部類の料理は、今では友人に振る舞えば絶賛されるし、意味が分からないパソコンも分からないなりに使えている。 専門用語に頼りさえしなければ、本を片手に時間を掛けてやっていけば、人間少しずつでも出来る様になるものだ。 この日、愛子はもう一台、やり繰りしたへそくりをつぎ込んでスマホを購入した。 誠一には教えない内緒のツールとして…。
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