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「リュ、シアン、おれ、あっ、もう……っ」
「よいぞ、っ、ランジュ」
「あ、あっ、だめ、だめだ、ひ、ぁ、ああっ」
しなやかな体が大きく跳ね、手足が痙攣する。充血した己の屹立から勢いよく精が吐き出されるのを、蘭珠は蕩けた瞳でぼんやりと見ていた。
ぱた、ぱた、と、軽い音を立てて白濁が散る。蘭珠は息を吐いて絶頂の余韻に浸ろうとするが、次の瞬間にはリュシアンの楔が強く内部を穿っていた。
「んあっ」
思いがけず与えられた刺激に、頭を仰け反らせる。純白の敷布に、長い黒髪がはらりと散った。
「リュ、リュシアンっ、今、だめだ、ばかっ」
「すまぬ、ランジュ。辛抱ならん」
「ひ、ぐっ」
伸びてきた手に背を抱えられ、上体を持ち上げられる。そのままリュシアンの胸にもたれかかれば、座ったリュシアンの上に跨るような形になった。無論、深く穿たれたままである。仰向けよりも深く鋭い角度で内側を貫かれ、もはや快楽と苦痛の境目が分からなくなった。
「あ、ああっ、ひ、やだ、ばか、本当に貴殿は自分勝手……っ」
「ああ、ランジュ、愛おしい……っ」
下から突きあげられ、体を揺さぶられ、蘭珠は狂ったように声をあげた。達したばかりで敏感になっている体は、快感を何倍にも増幅させて蘭珠を翻弄する。思考が白濁していく。だらしなく開かれた口から唾液がつたえば、リュシアンがそれをいやらしく舐め取った。
「あ、ああっ、おかしく、なるぅ」
蘭珠は我を忘れて乱れた。高い声をあげ、瞳を潤ませ。そんな蕩けた姿をリュシアンが穴が開くほどに見つめていることに気づき、忘れかけていた羞恥がぶわりと沸き起こる。
「あ、や、いやだ、そんなに、顔ばっかり見るなっ」
「できない、相談だっ」
「ひ、ぅ、今、ひど、ひどい顔をしている、からぁっ」
「ああ、ひどく扇情的で、っ、心臓に悪い」
「ば、ばか、あ、いやだあっ」
顔を逸らそうにも、リュシアンに抱き上げられている形ではかなわない。羞恥と快楽と、大きすぎるふたつの波に翻弄されて抗うこともできぬ。リュシアンに、あの子犬めにこんな目に遭わされるだなんて思ってもいなかった。
「ランジュ、はぁ、私も、もう……っ」
「はや、早く、いってぇ……っ」
「ランジュ、ランジュ。私の愛を、そなたに注がせてくれ……っ」
鼻先が触れ合うほどの至近距離で、翠玉の瞳がまっすぐに射抜いてくる。蘭珠もまた琥珀色の瞳で見つめかえした。互いの瞳に互いの乱れる姿だけを映したまま、蘭珠の体内でリュシアンが爆ぜる。
「ぅ、く……っ」
「んぁ、ああ、あああ……っ」
熱が、流れ込んでくる。蘭珠は夢中で目の前の唇にむしゃぶりついた。小さく喉で声を上げながら、溶け合うように舌を絡め合う。息が続かなくなるまで味わってから、唇を離すと同時に、蘭珠を貫いていた熱芯が引き抜かれた。
「ん、んんん……」
とろりと粘液が溢れる。解放された蘭珠は、力を失って寝台に仰向けで倒れ込んだ。すぐにリュシアンも覆いかぶさってくる。
揃ってはあはあと荒い息をつきながら、ぼんやりと天蓋を見上げる。優しく黒髪を梳いてくる指先が心地よかった。
「ランジュ、愛している」
飽きずに言って、目尻に唇が降ってくる。白銀の髪がふわりと頬にかかる。蘭珠はそれを甘んじて受け止め、恍惚とした様子で目を細めた。
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