ハンバーグ定食

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 父が見かねて沈黙を破った。隣で母が、怪訝そうな顔で、父を睨む。 「お父さん!」  母は短く嘆息した。そんな母に父は気を取り直すように告げた。 「まぁ、ええやん。岡本さんちのほら、何やったかいな。文乃と同じ年の子おったやろ。同じ高校やった子」  父が母に顔を向けた。母は「あぁ」と、上を向きながら頷く。 「圭吾君な」 「そや。あの子も今年あかんかったらしいで」 「へぇ……」  私は目を見開いた。
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