voluptuousness(官能的)

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「……これ、バスケのだよね!」 よほど好きなのだろう。 キラキラした瞳で話してきた。 緊張も解けたのか言葉遣いも自然に戻っている。 俺に心を開いてくれたってことなのかな、と 自分の中で謎の優越感に浸っていた。 「たぶん先生に言ったら部活見学して入部できると思うよ。 この学校はそこまで強くないけどな」 「うーん、でもやったことはないんだよね。 公園でいつも見てたんだ」 バスケをやったことないなんて珍しいな。 小学校や中学の体育で既に経験したことがあるはずだけど。 そんなどうでもいい事を考えていると、いつの間にか隣にいた月下は、誰もいない広い体育館を走り回っていた。 さっきの冷静さとは違いテンションの上がっている姿を見ると、とても新鮮でかわいいと思った。 そして風になびくその走り方がまた美しい。 「あ、ボールって倉庫の中にあるのかな⁉」 そう言って今度は体育館倉庫の方へ走っていく。 「そっちは行かないほうが……」
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