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凛花——……彼女のことが嫌いになった訳じゃない。
人間は高望みばっかりする生きものだ。
俺もそんな人間なわけで、周りから羨ましがられる自慢の彼女は一年も経てば段々とマンネリ化してきた。
きっとお互いにそうなれば別れるのだろう。
しかし、どういうわけか凛花の愛は低下することなくむしろその逆だ。
ありがたいことなのだけれど、最近はその中に重みさえ感じるようになってきた。
だが、凛花のお陰で助かっていることはたくさんある。
凛花のスクールカーストはとても高く、先輩後輩など生徒はもちろん先生や保護者からの信頼も厚い吹奏楽部のエースだ。
そんな彼女を振ったとなると俺の居場所はなくなってしまう。
それに、別れたいっていうほど嫌いなわけではないので、ダラダラとカレカノを続けている。
まあ、きっといつか罰が当たるか地獄に落ちるかっていう覚悟ぐらいはしているが、この心に穴が開いたような感情の欲求が満たされることは無い。
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