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石板を分析し、その星図の中で一番輝いている真ん中の星に向かった。
星間移動ももう、慣れたもんで、ただ僕は流れゆく星々のまたたきを見ていた。
石板の星から出発して10億年ぐらいで、目的の星だと思われるところについた。
その星は今まで訪れた数多の星々とは違い、生命体の数も種類も桁違いで、むしろ生命体でないものを探す方が困難なように思えた。
緑、赤、黄色、紫、青、生命には色が溢れ、動くもの、動かないもの、すべてがエネルギーに満ちていた。
このような美しく、荘厳な星があるのだ。時間をかけて旅をした甲斐があった。ここにはきっと仲間になる生命体がいる。僕は希望に心を躍らせて、今まで経験したことのない高揚感を感じていた。
突然、岩陰から真っ赤な衣に身を包んだ二足歩行の生物が現れ、僕と激しく衝突した。
「なんじゃい、われ!どこ見とんじゃ」
「すいません。この星の美しさに心を奪われ、われを忘れておりました」
その赤い衣の生物は、僕を舐め回すようにじっくりと見定めた。
「おまえ、変な格好しちょるのう。どっから来た?」
「ここから遠く離れた惑星から来ました」
「ほんまか。それでおまえ、全身緑なんか」
「あなたは全身赤い何かに身を包んでいらっしゃる」
その生物は自分の赤い衣をつかんで、ひっぱってみせた。
「おう、これか?これは広島カープのユニフォームじゃ。カッコええじゃろ」
生物は得意げに胸を張る。
「ええ、赤い布がとても似合ってますね」
「そりゃ、そうじゃ。赤はカープの命の炎じゃ。津田さんみたいな、燃える男やないといかん。弱気は最大の敵や。知ってるか?」
「知りません。どういうことですか?」
「オメエ、津田恒実知らんの?今までどこでなにをしとったんじゃ」
赤い生物が顔を寄せる。僕は背筋を伸ばした。
何百億年もこの宇宙をさまよったことをつたえる。そして額に一本のツノの生えた生物の化石が見つかった星の話をした。
「そりゃ、オメエ、ユニコーンじゃ」
「ユニコーン?」
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